今井和夫 ご挨拶

私は、兵庫県宍粟(しそう)市千種町岩野辺に住む今井和夫と申します。
平成元年に農業を志し、家族で新規就農いたしました。
すべての物差しが「おカネ」の世の中に疑問を感じ、自然・人・命を大事にする生き方をしたいとの思いでした。

平飼い自然養鶏を中心にコメ・野菜は自給分を作りながら、
地域の人々に支えられ、今まで28年間、やっていくことができました。

地域活動も、地域の皆様とともに、多方面にわたりやってきました。
本当にいいところに住むことができた、いい人たちと巡り会えたとしみじみ感謝の気持ちでいっぱいです。

しかし、私の大好きな、夢を託した千種町が、宍粟市が、昨今、元気をなくしつつあるように思います。
また、それは、ここ千種町・宍粟市だけのことではなく、全国どこの地域も同様です。

『このままでは、本当に日本から素晴らしい「地方」がなくなってしまう!!』

そんな思いで立ち上がることを決意いたしました。
熱い思いと行動力は誰にも負けないと思っています。地域の皆様のために精一杯頑張ります。
何卒よろしくお願い申し上げます。


今井和夫 プロフィール

  • 1958年(昭和33年)

    5月5日生まれ
    兵庫県明石市出身

  • 1977年

    兵庫県立加古川東高校卒業

  • 1981年

    慶應義塾大学経済学部卒業

  • 1982年~1988年

    大阪市立中学校教諭

  • 1989年

    兵庫県宍粟郡(現・宍粟市)千種町中島に転居

  • 1989年~1990年

    千種町岩野辺に1年かけてセルフビルドで家を造り転居

  • 1990年~1993年

    セルフビルドで鶏舎建築

  • 1990年~

    平飼い自然養鶏を始める
    「いまい農場」開設
    皆様に支えられ現在に至る

兵庫県宍粟市市議会議員 今井和夫(宍粟市議会)

主な活動歴

兵庫県宍粟市市議会議員 今井和夫(宍粟市議会)
  • 1993年~2001年

    岩野辺消防団

  • 1993年~

    空手教室「千空会」主宰

  • 1993年~

    岩野辺獅子保存会会員

  • 1994年~1998年

    岩野辺子ども文庫開設

  • 1998年~2003年

    ミニコミ誌「グラフ岩野辺」主宰

  • 2000年

    宍粟郡連合PTA会長

  • 2002年

    千種町学校給食設立委員会委員長

  • 2011年~2017年

    千種町野菜生産組合会長

  • 2012年~2014年

    全国自然養鶏会会長

  • 2014年~

    千種町町づくり推進委員会広報部長
    広報誌「ええとこ通信」発行に携わる

  • 2017年4月

    兵庫県宍粟市市議会議員当選

今井和夫のメインテーマ
(私が市議会議員に立候補した理由)

『農地を守りたい・地域を守りたい』

今、日本は大きな転換点に来ているのではないでしょうか。というか、転換するのか、このままズルズルと国が壊れる方に進むのか。
間違いなく、今の農政が続けば日本の農地は今の半分以下になってしまいます。そして、そのほとんどは中山間地の農地。
農地が荒れてしまえば、中山間地は人が住めないところとなり、いずれ廃墟となっていきます。極端に言えば、国土の7割が廃墟となります。人が都市にしか住まない国になるのです。
そして、食料のほとんどを外国に依存する国に。どんなに農薬が残っていようと抗生物質や成長ホルモンが入っていようと文句も言えない。そして、日本人はどんどんと病気になっていく。
異常気象が起これば、食料価格はドーンと跳ね上がる。おカネを出して売ってくれるならまだいい、どんなにカネを出しても売る物がない。スーパーやコンビニから食料品が消えていく。
あるいは、農地がなくなれば、間違いなく足もとを見てきます。平時でも、様々な理由をつけて食料価格はドンドンと上がっていく。(当たり前です。)
それでいて、食料輸出国には逆らえない。言いなり。特にアメリカに。

こんな国を子どもや孫たちの残すのか、それとも、真っ当な国に変えて残すのか。
本当は、日本は農業にとても適した国です。温暖、日がよく照り雨がよく降り土が肥え。日本でできる農産物はとてもおいしい。
どうしてそれをつぶしてしまうのですか。
ちゃんと農業を守る政策をとれば、おカネをしっかりそこに回して若者がコメ・麦・大豆・飼料作物(飼料米など)を作って生活できる道を作れば、日本の農業もまたしっかりと復活します。3~4兆円あればできることなのです。
「地方創生」とか言われるが、特別なことはしなくていい。地方は農林漁業がまずきちっと確立していれば、それで維持される。限界集落も起こらないし、美しい国土が維持される。すべてはそこからです。
『日本に住む者の食料は日本で作る・食料自給』この国としての当たり前の姿を取り戻せば、地方は農林水産業を基盤としてまた復活します。

あきらめそうな気持ちはよく分かりますが、あきらめるのはまだまだ早い。
間違った対策に翻弄されてはいけません。
ちゃんと守れる施策はあるのです。
しっかり、正しく確実な対策に向かって、みんなで声を上げていきましょう。
共に取り組みましょう。

もう、あまり時間はないです。農地はどんどんと荒れていっています。

それが私の、議員に立候補した一番のテーマです。

以下に、私が考える、正しいとるべき農政が書いてあります。
長文ですが、よかったらぜひともお読みいただければ幸いです。

みんな騙されています。行政も騙されています。

まだまだ未熟な論で、もっともっと詰めていかなければいけないところだらけで、あるいは間違っているところもあるかも分かりませんが、大きな考え方としてとらえていただければと思います。

1.どんどん荒れていく農地

私の住むところは兵庫県宍粟市千種町。典型的な「中山間地」です。
私は1989年(平成元年)に新規就農を志し今の土地に引っ越してきました。地縁・血縁、何もない所でした。しかし、地域の皆様はあたたかく私たち家族を迎え入れてくれました。そして、まず、自分で家を建て、次ぎに鶏舎を建てて「自然養鶏」を始めました。以来、現在まで地域の方々、顧客の皆様、様々な方々に支えられここまでやってくることができました。

しかしながら、私の回りに広がる農地は山ぎわからどんどん荒れてきました。あるいは、今は耕作されている農地も「あと○年で耕作放棄だなあ~」というものばかりです。
しかし、これは私の住む町だけのことではありません。日本中の中山間地の農地、いや、平地の条件のいい農地ですら同じような状況の所が非常に多い。
これって、ほんとうに大変な事態です。農地を失う。自国で食料が作れなくなる。民族の自殺行為です。
農地は一度荒れてしまえば簡単には農地に戻りません。ヤブになり木がはえてもう山になってしまいます。水路も壊れてしまえば復旧は非常に困難です。

2.政府は相変わらずの「規模拡大~」、農家はほとんど「あきらめ~」

そんな現状に対し、政府はどう対処しようとしているでしょうか。
「農地中間管理機構」というのがあります。耕作しなくなった農家から農地を預かり耕作意欲のある農家に貸与する。それを進めようとする機構です。これによって、大規模農家を作り効率の良い農業をやっていこうと。しかし、これは耕作意欲のある農家がいて初めて成り立つ制度です。しかし、ほとんどの中山間地では耕作意欲のある農家はいません。
なぜでしょう。
それは、採算がとれないのが分かっているからです。中山間地においては精一杯頑張っても一軒あたり3haくらいの水田を耕作するのがやっとです。(もちろん条件によって違いますが。) とても20~30haなんてムリです。3haくらいの耕作では今の米価ではとても若者の仕事としては成り立ちません。それに対して、「中山間地地域等直接支払交付金」とか「多面的機能交付金」とか、一応、政府は中山間地向けの対策を作っていますが、とても足りたものではありません。それでやっと年金生活者が耕作ができる、その程度の補助金です。
ですから、若い意欲のある農家は中山間地においては出てこないのです。「農業で生活できるなら頑張りたい」そう思う若者はたくさんいます。でも、意欲が持てないのが現実なのです。「農地中間管理機構」も中山間地においてはほとんどが開店休業状態。

3.中山間地の農地は日本の農地の4割、荒れてしまえば食料自給は成り立たない

現状でさえも、日本の食料自給率は37%です。(家畜の飼料なども含めた穀物自給率は28%。)どんどん下がっています。政府はもう食料自給率の目標をいうことをやめてしまいました。これは農政の放棄です。
日本は都市から少し行けばそこは中山間地です。国土の7割が中山間地域です。そこには日本の全農地の4割の農地があります。
現状でも37%しかない食料自給率。今後、この全農地の4割に当たる中山間地の農地を失ってしまえば、とても、日本の食料自給は成り立ちません。

4.食料自給ができない国の問題とは

(1)「いつでもカネさえ出せば食料を売ってくれる」そんなことがいつまでも続くはずがない
異常気象の頻発により食料輸出国の農業に異変がどんどん起こっています。また、例えばアメリカの大規模農地は化学肥料多用により土がどんどんとやせています。「いつまでも安定的に食料を輸出してくれる」どうしてそう思えるのか、私には理解できません。というか、おそらくそんな先のことまで政治家も国民もほとんど考えてないのでしょう。
農作物は工業製品とは違います。命のつながりの中で自然の力でつくっていくものです。今日から「ハイ作りましょう」と言ってできるものではありません。

(2) 食の安全が守られない
自分の国で作れないとなれば、「あんたのとこからの食品は農薬まみれだから買わない」と言えなくなってしまいます。どんなモノでも買わざるを得ません。
 現実として、日本は小麦の9割を輸入していますが、そのすべてから除草剤の残留農薬が検出されます。(なんと、日本だけ除草剤の残留農薬基準をゆるくしてしまっています) 
遺伝子組換食品も、今や、ヨーロッパ、ロシア、中国、韓国、・・・他、世界の流れは禁止、規制強化なのに日本は逆にどんどんと入ってきています。
そもそも、輸入食品には遠いところから船でひと月かけて運んで来る間に虫が湧かないように殺虫剤処理がされます。そんなものを私たちは常食しているのです。だから、ガンがますます広がっているのではないでしょうか。

(3) 輸出国の言いなり
食料を握られていればその国に対してものが言えません。それは、特に、アメリカとの関係です。日本は食料の多くをアメリカに依存しています。(小麦5割、大豆7割、トウモロコシ(家畜のエサ)9割) だからいよいよになればアメリカに反対することができません。2003年アメリカがイラク戦争を始めようとしたとき、小泉総理は一番に賛成したのですが、テレビで一度だけ彼は言いました「アメリカに食料を握られていて反対できますか」と。
つまり、国としての主権のない国、本当に惨めな国になってしまいます。

5.中山間地の農業を捨てたら日本の7割の国土は人が住めないところになる

中山間地は農地と隣り合わせに家があります。その農地が荒れてしまえば、ヤブになり昼間から鹿やイノシシ、アライグマなどがウロウロするようになれば、もうそこには人が住めません。観光も成り立ちません。
都会の人は、休日には田舎にドライブ、道の駅めぐり、・・、癒やしを求めて田舎に来る人は多いでしょう。みんな、農地がきちんと整備され、美しい田園風景が維持されているから田舎が癒やしになるのです。荒れ果てた田んぼ、朽ちた家、・・そんなところに来れば心はよけいに荒んでしまいます。
日本の原風景のような、山があり、ふもとに田んぼと家が並んでいる、そんな風景がなくなってしまうのです。

6.「売れる農業を~」は耕作放棄田対策にはならない

そんな状況の中で、対策として今よく取り組まれるのが「コメではなく売れる農業を~」です。コメは今は余っている。だから、もっと需要のある作物を、というものです。一見、もっともな理屈です。そして、当然、それも追求し努力すべきです。
しかし、現実は、「売れる農業」では今から出てくる耕作放棄田は守れないのです。なぜなら、「売れる農業」で出てくる作物は、野菜類やあとは何か特産品的なもの。(自然薯とかレンコンとかいろいろ。) ところが、それらを作るのにはそんなにたくさんの農地は必要ありません。
というか、それらはおおむね、すでに日本の中では作られているものばかり。例えば、野菜類。今、野菜の自給率は約8割。基本的な野菜はだいたい自給しています。ということは、今から出てくる耕作放棄田に野菜を作っても基本的には余る。だから、売れないか、あるいは、今まで作っていた農家が売れなくなるか、共倒れか。つまり、新たな耕作放棄田対策にはほとんどならないと言うことです。
売れる可能性としては輸出がありますが、現実は、ごくわずかな農地分の需要しかないでしょう。

7.農地を守るのは、コメ・麦・大豆・飼料作物

コメ・麦・大豆・飼料作物(飼料米・トウモロコシ・牧草など)・・・、これらを「土地利用型作物」と言います。つまり、作るのに広い面積の農地が必要なものです。特に日本では『コメと麦』でした。1年の表裏でこれを作ってきたのです。いわゆる「主食」と言われるものです。これには広い面積が必要で、これを作るために血と汗の努力で先人たちは農地を開墾してきたのです。そう、つまり、「主食を作るために大多数の農地は存在する、必要とされる」とも言えるわけです。だから、「農地を守る」というのは主食を作って守るということになるのです。それが日本ではコメだったのです。
そして、今、日本人の食生活は変わり、コメが減って替わりにパン・パスタ・卵・肉や油類が増えました。つまり、主食が変わって来た。だから、農地を守り自給率をあげるには、コメを作らなくなった田んぼでは新たに小麦・大豆・飼料作物を作るしかないのです。
これらはほとんどを輸入しています。(自給率:小麦13%、大豆7%、トウモロコシ0%) これらの輸入を国産に替えていくしか、耕作放棄田をなくし、農地を守る道は実はないということです。

 (「主食を作るためには広い農地が必要」と書きましたが、人が生きていくためにはカロリーのある食べ物が必要で、それにはコメ・麦・トウモロコシが一番、効率が良かったのです。つまり、広い面積が必要なのですが、その中でも、一番少ない面積で多くのカロリーを得られるのがコメ・麦・トウモロコシだったのです。そして、日本の気候に合っていたのがコメだったのです。それ以外のもので高いカロリーを得ようとすれば、もっと広い面積が必要だったということです。)

8.コメ・麦・大豆・飼料作物を作って若者が生活できる農政を

つまり、農地を守る方法・耕作放棄田対策は、コメ・麦・大豆・飼料作物を作って若者が生活できる制度を作っていくしかありません。
それは、具体的にはどんな方法か?
コメで言えば、今は、年金をもらっている人がわずかな補助金をもらいながら頑張って耕作されています。(中山間地交付金等として10a(アール)当り約1~2万円の補助金)
しかし、その方々が高齢になり、できなくなったあとが、現状では耕作する者がいません。そうなれば、コメもどんどん不足してきます。
今、アメリカ等のコメ輸出をねらっている国は虎視眈々とその時期を待っているのでしょう。しかし、そうなってしまえば、ほんとに日本から田園風景がなくなり、日本の国土の7割をしめる中山間地は廃墟となってしまいます。

9.中山間地、水稲10a(1反)当り10万円の補助金を三セクを作って支給、それで若者を雇用する

ですから、コメに関しては年金生活者が耕作できなくなったところから、若者が耕作して生活できるくらいの補助金を出していくしかありません。
具体的には、それは中山間地では10a(1反)当り10万円、1haだと100万円くらいではないでしょうか。頑張って3ha耕作して300万円の補助金です。これで、やっとなんとか生活できるくらいではないでしょうか。
1995年まで日本にあった食管制度。生産者から高く買い取り(生産者米価)消費者に安く売る(消費者米価)という制度。それが、今の価格に直せば、実はこのくらいの額でした。(もちろん今はありません。)
今、中山間地のすべての水田にこれだけの補助金を出すと米価は一気に下がってしまいます。なぜなら、今、年金をもらっている人にはこんなにも補助金は必要ないからです。(今の10aあたり1~2万円ではさすがに少ないですから、もう少し上げる必要はありますが。)ですから、まだ年金をもらっていない人に届くような制度設計にしなければなりません。
具体的には、耕作放棄田対策の三セク等を作り、そこに同額の補助金を支給し、そこが地域の若者を雇い、新たに出てくる耕作放棄田を耕作していく、そんな方法がいいのではないでしょうか。そうすれば、若者も農業で雇用されるということになるので、農業をするハードルが一気に下がります。

10.約2兆4000億円あればすべての水田は維持できる

最終的に、すべての中山間地の水田に10a当り10万円を支給するといくらおカネが必要になるか?
約9700億円です。全然不可能な額ではありません。
そして、平地の条件の良い水田にもある程度の補助金は必要だと思います。10a当り3万円くらい。10ha耕作すれば300万円の補助金。(もっと少なくても良い所も多くあると思います。)
それに必要な額は4350億円。
そして、今、すべての水田でコメを作っても4割が余ります。それは飼料米に使うとします。飼料となれば、一気に価格は下がってしまいますので、その補填を別にしなければなりません。それは10a当り10万円くらい必要です。(現状は8万円)
そのためには別に9700億円。
合計2兆3750億円。
これだけあれば、今の水田は守れるのです。耕作放棄田というのがなくなるのです。それは、つまり、すべての地域の水田がきちんと維持されるということで、つまり、限界集落もなくなるということです。
これは競争に勝った農地だけが生き残る方法ではなく、すべての農地が守られる方法なのです。これしか、すべての農地を守る道はないと私は考えます。
あと、自給率を上げるために、小麦・大豆・畜産にも補助金が必要。すべて合計して、3.5~4兆円くらいあれば、日本の農地はすべて守られ、自給率も大幅にアップするのではないでしょうか。
私は、これが本当の農政なのだと思います。

11.競争も大事だが、まずは生活できる所得の補償をしなければ若者は農業をしない

もちろん、競争も必要です。個人や三セク等の法人でそれぞれに努力して利益を最大限に上げていこうとすることは非常に大事です。しかし、それらは基本給が保証された上での話です。
現状は、条件の良い所で才能がありチョー頑張った者だけがなんとか基本給くらいを確保できるのが、日本の農業の実態です。そうではなく、基本給は普通に頑張れば保証される。チョー頑張った者にはボーナスがド~ンと入る。そんな農政にしなければ、若者たちは農業に入って来ないでしょう。
それに、これは何も一人300万円の給料を保証するのではありません。給料は個人や団体でさらに努力して利益を上げて決めるのです。自分だけの努力ではとても無理だからその分を助成するというものです。

12.欧米先進国はどこも当たり前にやっている

そして、実はこのような補助金制度は、欧米先進国では普通にやっていることなのです。
様々なデータがあり、確定的なことは言えないのですが、農家の所得にしめる国からの補助金の割合が、だいたい、EUでは7~9割、アメリカは3~5割、日本は2~3割というところのようです。
つまり、日本の農家は一番補助金の割合が少ないのです。例えばEUだと、500万円の所得の農家ならば、そのうち自分で稼いだのは50~150万円で、残りの350~450万円は国からの補助金だということです。
農家一戸当たりの平均耕作面積はEUで40~60ha、アメリカ170ha、日本2ha(北海道以外)と全然違うのですが、しかし、EUやアメリカのように大規模な農家でも、国からの補助金がしっかりあるからやっていけているのです。
よく、「日本の農家は過保護で補助金漬け」とか言われますが、真実は真逆。一番補助金が少ないのが日本です。だからやっていけないのです。

13.これは現代版の公共事業

このようにして、農業を通して3~4兆円のおカネが地方に降りるようにする。同様に林業・漁業にも数兆円の補助が必要でしょう。合計で7~8兆円くらいは必要でしょうか(このあたりはよく分かりません)。これが農林漁業を通して地方に降りるようにすれば、これは現代版の公共事業です。
20~40年位前、「田舎の仕事は土建業」といわれていました。毎年、10~15兆円くらいのおカネが公共事業費として地方に降りていました。だから、田舎は元気でした。
同様のことがこの7~8兆円で起こるのです。そのおカネをまずは農家が地域で使っていく。商店街、大工さん、土建業、・・息を吹き返します。子どもも増えます。学校の廃校もおさえられます。(できるだけ地域で買い物をする、地域の物を買うようにする仕組みを作る必要があるでしょう。)
つまり、農林漁業だけでなく、地方全体がまた元気になるのです。

14.農林漁業を犠牲にして工業を発展させてきた日本

日本は高度経済成長期以降、農林漁業を犠牲にして工業を発展させてきました。どういうことかと言えば、自動車などの工業製品を輸出するために、農林水産品を輸入してきたのです。
基本的に貿易というのは、何かを買わなければ何かを売ることができません。一方的に売るばっかりでは成り立たないのです。つまり、「自動車を買って欲しいのならば小麦を買え、牛肉を買え、トウモロコシを買え。それがイヤなら自動車を買わない」ということです。今では「コメを買え」です。そうやって、工業製品を売るために農林水産品を輸入してきた。つまり、国内の農林漁業をつぶすことによって工業製品を売ってきたのです。
だから、本音では経済界は農林漁業が復活してもらったら困る。自給率が100%になってもらったら困る。自動車が売れないから~。ということです。

15.マスコミは農家の所得補償制度のことは一切言わない

それが証拠に、テレビなどのマスコミでは欧米で普通に行われている農家へ直接補助金を支給する制度(所得補償制度)のことは一切報道しません。知ってもらったら困るのです。マスコミは経済界がスポンサーです。スポンサーに都合の悪いことは報道しません。
だから、マスコミが言ってきたことは、「日本は規模が小さいから農業ではやっていけないのだ~」です。そうやって、日本の農家が悪い、あるいは、日本は農業には向いていない国だ、そんなイメージを植え付けて、「農林水産品の輸入は仕方がない」そう国民に思わせているのです。
逆に言えば、もうとっくの昔から分かっていたのでしょう。「所得補償をすれば農林業は復活する。自給率も100%になる」ということが。当たり前です、EU、アメリカでは普通にやっているのだから。でも、そうなってもらったら困るのでそれは一切言わないのです。

16.アメリカの戦略

そして、もうひとつ、アメリカの戦略があります。アメリカにとって農産物は戦略物資なのです。相手国の食料を握ることで相手国を支配するという戦略です。まさに日本は、世界で一番その戦略がうまくいった国です。
まず、1960年頃に小麦と大豆の関税が一気に下がり、日本から麦作が一気に消えました。1965年頃にはすでに冬の田んぼは子どもの遊び場になってしまいました。麦踏み、麦わら帽子、はったい粉、麦秋・・、そんな麦にまつわる文化が消えていきます。そして、小麦が輸入されパン食が一気に普及します。まず学校給食から。「コメを食べるとバカになる」そういう日本の学者まで出てきました。そうやって胃袋をしっかり握られてしまったのです。

17.これは国を根本から変えること

いろいろと書いてきましたが、つまり、耕作放棄田を作らないということは、結局は、日本の食料自給を復活させることであり、逆に言えば、食料自給を復活させない限り、耕作放棄田は守れない、つまり、田舎は守れないということなのです。
そして、それは、「農林漁業を犠牲にして工業を発展させてきた」今までのあり方を、「まずは農林漁業を確立して、その上で工業も発展させる」というあり方に、根本から変えることなのです。
当然、抵抗は大きいでしょう。経済界は猛反発するでしょう。今までのように輸出ができなくなるから。「過保護だ、自力でやれ~」と。ならば言いましょう「お前がやってみろ、補助金なしであんたがやれるならやってみたら」と。
そして、言いましょう。「本当に食料を外国に頼ってしまっていいのか」と、「中山間地が全部廃墟になってしまっていいのか」と、正面から問いましょう。建前では「守らなければいけない」と言わざるを得ないはずです。そして、それは建前ではなく、本当に守らなければいけないものなのです。
フランスでは、工業界も自国の農業を犠牲にしてまで外国に売ろうとはしない、と聞いたことがあります。
そんな国にもう一度戻らなければ、本当に日本の7割の中山間地は廃墟になってしまいます。日本民族の終わりです。

18.農家はみんな必死に頑張ってきた

蛇足になりますが、農家の人は、みんな必死に頑張ってきました。休日、他の人が遊びにいく中で、自分だけは田植え、草刈り、稲刈り・・と。他で働いて得たサラリーを農業機械を買うのに使って、まるで採算は合わないのに。そうやって、必死に農地を守ろうとしてきたのです。
それに対して国は何と言ってきたか。「大規模化をしない『やる気のない農家』」と言ってきたのです。「やる気のない農家に補助金は出さない、やる気のある農家、大規模化する農家に補助金は出す」と。できるならみんなやって来ている。なんとか農業で生活できないかとほんとに多くの人が努力してきました。でも、ほとんどの人が結局できずに、兼業農家になっていったのです。
中山間地ではできもしない大規模化を国は中山間地の農家に要求し続けてきて、それをしない農家を「やる気のない農家」と切り捨ててきたのです。

19.アメリカの抵抗

さて、抵抗は経済界だけでなく、アメリカの抵抗も大きいでしょう。
アメリカにとって、農産品は大きな輸出品。一大産業なのです。日本が買わないということは、彼らにとってはあり得ないことで、激しい抵抗が起こるでしょう。大統領にとっても大票田なので一緒になって抵抗してくるでしょう。「自動車を買わない」とかいろんなことを言ってくるでしょう。
そして、何よりも、先ほど書きましたように、アメリカにとって食料は戦略物資。日本支配の大きなツールです。日本が食料自給をするということは、その支配の関係を放棄するということにつながるのです。戦後70年続いたアメリカの日本支配をやめることにつながることです。当然、「日米安保条約」にも影響してくるでしょう。
戦後、「軍備と食料」を支配することで、アメリカは日本を事実上「支配」してきたのです。その関係をやめる。これはとんでもなく大きなことです。
でも、いつかはそうなることです。どうしていつまでも外国の軍隊が日本にいるのでしょうか?

20.「日米安保がなくならなければ田舎は元気ならない」

話が大きくなってしまいますが、すべては実はつながっています。
実は、私は、ずっと前から言ってきました。「日米安保がなくならなければ田舎は元気ならない」と。
つまり、先ほども書きましたが、田舎が元気になるには食料を自給する国にならなければできない。食料を自給するということはアメリカから食料を買わないということ。これにはアメリカは激しく抵抗するだろう。アメリカに軍備を依存した関係ではなかなか言えることではない。ということです。
そして、同じことは日本人の問題としても言えるのです。
「どうしたら日本人は『自国の食料を自国で作らなければ』と思うようになるのだろうか」と考えたとき、「食料と軍備」という国として一番大事なこの二つをアメリカにゆだねてしまって、日本人はみずから考えることをしなくなってしまった。この一番大事な足もとを考えることを放棄してしまった。放棄して金儲けだけに浮かれてしまった、と考えるようになりました。
日米安保がなくなって、「自分の国は自分で守る」ということになったら、「軍備だけを持っていても食料を握られていたらダメだろう」とようやく考えるようになるのではないか、と。つまり、食料と軍備は一体なのでは。軍備を外国に委ねていては、食料を自給しよう、国家として自立しようとはならないのではないか、と。
国としての自立には、この二つ(食料と軍備)は両輪で不可欠なものなのです。結局日本人はいろんな意味で自立できてないのではないでしょうか。(選挙に行かないのもその一つかも。)
たぶん当たっていると思うのですが、皆さんどう考えられますか?

(ここでは詳しくは書きませんが、もうそろそろ日米安保を象徴とする戦後75年続いた対米従属を基軸とする外交から、全世界と対等に自主・独立・平和の関係を基軸とする外交に、特に、アジア諸国との関係を大事にする外交に切り替えていく時期が来ていると私は思っています。)

21.五円玉の国になろう

五円玉の国になろう

1949年、今の形の五円玉が作られました。稲穂と海と歯車のデザインです。戦後の荒廃した中で、農業、水産業、工業が共に栄えることを願って作られました。
今のような農林水産業を犠牲にして工業だけを発展させるのではなく、この五円玉の精神に帰って、農林水産業と工業が共に栄える。そして「自分の国の食料は自分で作る」そんな当たり前の国になってもらいたいです。

22.財源は?

さて、話を農政に戻しますが、農政と言っても今度は財源の話です。
3~4兆円。こんなカネどこにあるんや、と思われるかもしれません。だいたい、EU諸国も国家予算の3%くらいは農業予算に使っています。EU本体はもっともっと使っています。(EU初期の頃はEUの予算の8割くらいは農業予算に使っていたようです)だから、日本でも3~4兆円くらいは農業予算に使っても全然当たり前のはずなんです。
今でも2~3兆円は使っていますが、直接、農家の所得に回らないものが多い。農業土木予算とか。それも大事ですが、農家が成り立ってこその農業予算なのです。

23.税制を変えればおカネは出てくる

今、「国はおカネがない」とよく言います。「一人当たり900万円くらいの借金がある」とか。でも、それは財務省が消費税を上げたいから言っているだけの理論で、本当はそれ以上の資産を国は持っている。
また、国の借金は国民への投資なので一概に悪いとばかりは言えません。「国の借金=国民の資産」でもあります。
それに、国にはおカネはないかもしれませんが、あるところには思いっきりおカネはあるのではないでしょうか。
例えば、企業の内部留保金。今では460兆円を越したそうです。ここ数年は毎年20兆円くらい増えています。資産が1億円以上の人も200万人以上に増えてきています。
1985年くらいの税制に戻す。つまり、消費税はなくし法人税を元のように高くする。贅沢品には物品税などでしっかり課税する。そして、高額所得者の所得税率を元に戻す、最高税率70%に。(今は40%です。少なくとも50%以上に)。株式配当などへの課税も今はどんなに儲けても20%しかかからないのを普通に所得の中に入れて所得税の累進課税を適用する。等々で、消費税をなくしても今よりは税は大きく増えるということです。

24.子どもの7人に1人が貧困と地方の疲弊、根は同じ

今、子どもの7人に1人が貧困家庭と言われています。ワーキングプア。長時間低賃金労働。20代の6割が貯金ゼロ。30代40代でも4~5割が貯金ゼロ。片や、資産が1億円以上の人も200万人以上に。
一部の者に富みが集まり、大多数の者はその日暮らすのが精一杯で、将来に不安をかかえて生きている。
地域的にも、東京一極集中。東京に富みが集まり、地方はどんどん疲弊していく。シャッター通り、耕作放棄田・・。
これみんな根は同じですね。一番大切な人の命、食料、不安のない暮らしなどをないがしろにし、ごく一部の者たちが富を独占していく。強欲な欲ボケた者たちが人を派遣労働などで使い捨てにし、搾取し、富を独占していく。
この構造を変えていかなければ、財源は出てきません。人々の暮らしも良くならないし、田舎も元気にならず、農地も守られないと考えます。
農業だけに所得補償制度などを導入することは難しいと思います。農業を守ると同時に人々の暮らしも守る。教育費・子育て費用も国がみる。老後の年金もきちっと税金から支給する。(年金制度は今の保険制度ではなく、応能負担できちっと集めた税金から、若いときの職業に関係なく最低限の生活費は支給すべきと考えます。) 農業を大事にしない国は人の命も大事にしない国なのです。

25.『一人の百歩より百人の一歩』

それが、「一人の百歩より百人の一歩」という言葉です。1人が百の富を独占してしまうのではなく、百の富を百人で一ずつ分け合うということです。それが「共に生きる」ということではないでしょうか。それが『絆』というのではないでしょうか。
もちろん、何もかも平等というのではありません。頑張った者にはそれだけの対価があってしかるべきです。しかし、今は頑張った以上の富みが強者に集まる仕組みになっています。
強者はほっておけばますます強者になり、弱者はますます弱者になります。いつの時代もそれが社会の仕組みです。
強者に集まる富は強者が自分だけの力で作ったものではありません。もちろん、ほとんどの場合、強者は人並み以上の努力をされている、その結果でしょうが、しかし、その富の源泉は多くの人の貴い労働によって作り出されたものであり、また、多くの人が買ってくれているからこその富です。
そこに感謝の念を抱くならば、得た富をそこそこに社会に還元していくのが人の道ではないかと私は思います。
少なくとも、すべての人が安心して暮らしていけるだけの富みが社会全体としては作られています。その分だけは、強者の者たちから税金として納めてもらってもバチは当たらないでしょう。だってみんなが作った富なのですから。まだまだ十分にお釣りは来るはずです。それが「三方良し」ではないでしょうか。
欲を言い出せばキリがありません。『足るを知る』ことが大事なのです。欲ボケてはいけません。

26.消費税は最悪の税制

その意味では、消費税というのは最悪の税制です。弱者から搾り取るための税制です。
消費税はフランスの大金持ちたちが考え出した税制だそうです。自分たちの税金をどうやったら減らせるか。どうやったら貧乏人から税金を取ることができるのか。そう考えてできたのが消費税です。
消費税は年収が200万、300万の人からでも問答無用に取っていきます。生きるためにコメや牛乳を買ってもむしり取られます。貯蓄なんて余裕はないですから、所得の全額を消費します。所得の100%に消費税がかかるわけです。
片や大金持ちたちは、所得の中でそんなに多くを消費にまわしません。まして生活必需品にかけるおカネの割合はごくわずか。あとは贅沢品や投資です。投資には消費税はかかりません。仮に一億円の所得の者がいたとしましょう。もちろんそこから所得税等をまず納めますが、消費するのはよく使っても2,000万円くらいではないでしょうか。あとは主に投資に回ります。カネがカネを作る。それにははじめから消費税はかかりません。つまり、使った2,000万円にしか消費税はかからないのです。年収2~300万円の者と全然違います。
これでは格差が大きくなっていくはずです。
消費税が始まるまでは、日本は「一億総中流」と言われていました。ほとんどの者がそこそこの所得がある。そして、そんなにべらぼうな大金持ちもいない。そんな「真っ当」な国でした。消費税の導入によってそれが崩れ、金持ちはチョー大金持ちに、中流層は余裕のない中流層か貧困層に。もう一度、元に戻さないと、社会も人の心も壊れてしまいます。農地も・・。

27.とりあえずは財源を作って耕作放棄田対策を

話は大きくなりましたが、このあたりのことも考えていかないと、現実はなかなか農地を守ることは難しいのではと思います。国としてのあり方、私たち国民の生き方が問われていることなのです。
しかし、現実はなかなか簡単には動かないでしょう。特に、アメリカからの独立という話は、すぐには難しいでしょう。
しかし、耕作放棄田はもうどんどんと出てきているのも現実です。待ったなしです。ですから、少なくとも、税制を変えて財源を作り、今からどんどんと出てくる耕作放棄田を若者が耕作してコメや飼料米を作っていける制度をまず作っていくことです。これは今すぐにでも取り組んでいかなければならないことです。少なくとも今ある農地・田んぼはどんな中山間地でも守っていくことです。

28.国が動かないなら市町村単位で耕作放棄田の耕作から始めよう

とはいうものの、それすらなかなか国は動かないでしょう。本当に本気で地方のこと、国民のことを考えているのでしょうか・・疑問です。国民にもそこまでの危機感はまだないでしょう。地方の現実を知らされていませんから。
となれば、本来はこれは国がすべきことですが、とりあえず、地方でできる範囲で動き始めるしかないです。現実を目の前にした自治体が動き始め、そこから国や世論に訴えていくしかありません。
とりあえず、市町村で農地を耕作する三セク等を作りましょう。そこに若者を雇い、次々出てくる耕作放棄田を耕作していきましょう。
3000万円助成して10人くらい雇用してもらい、それで30haの耕作放棄田の耕作をしていきましょう。100haの耕作放棄田が出てきたならば、1億円助成して33人を雇用してもらい耕作する。(もちろん田んぼの条件によって違います。もっと広い面積ができる場合も多いでしょう。)

29.モデルケースを作って、国や国民を動かそう

地方財政はどこも非常にきびしいです。それは言いましたように、国が取るべきところから税を取らず、地方の必要な施策に対しておカネを回していないのが最大の原因です。
きびしいですが、農地は本当に大事です。今直接には、なにも考えず輸入食品で不自由なく暮らしていますが、コメまでも輸入して暮らすのですか? それは子どもたち・孫たちの命と健康を奪う道です。農地のなくなってしまった国を子どもや孫たちに渡すのですか? どうやって生きていけと?
他の施策を後回しにしてでも、ある程度の耕作放棄田対策として直接に予算を入れていくしかありません。なんとか可能な範囲でいいので。
それで、モデルケースを作っていく。「これしか耕作放棄田対策はない」と。そして、「これは国がすべきことだ」と世論を作り、運動を起こして行きましょう。

30.ふるさと納税等を使って、できるだけ高く売ることも考えよう

本来は補助金とかなしで、再生産できる真っ当な価格で消費者が買うのが一番正しい道です。消費者が真っ当な価格で買うのならば補助金とかは要らないのです。
ですから、消費者にも訴えていきましょう。
「コメが30kg8000円とかでは農家はやっていけません」と。「30kg15,000円くらいでないと中山間地ではやっていけないのです」と。「そしたら、農地を守ることができ、国土を守ることができるのです」と。
おそらく、心ある方は高い値段で買ってくれる方が出てくるでしょう。少しでもそうやって、地方財政からの持ち出しを減らす努力もしましょう。
その分、消費者からの信頼に足るコメを作らなければなりません。その努力も大いに必要だと思います。

31.新技術も取り入れていくしかない

今、農業関係でもAI等を使った技術革新がどんどんと進められているようです。自動運転のトラクター、田植え機、畦草刈り機、防草シート、田んぼへの自動給排水システム、ドローンを使った作物の管理、・・。
これらは、実は諸刃の剣で、人が少なくても農地を守ることができるようになりますが、それは逆に、田舎に住む人がますます減っていくということになります。
もちろん、まだ高価なのでなかなか手が出ませんが、いずれ手の出るような価格になっていくのでしょう。痛し痒しですが、もうこの流れは止められないと思います。それも取り入れて人件費を節約していく方法も考えていく必要はあるでしょう。

32.三セクが農地を所有する

おそらく、「もう農地ごと引き受けてくれ」「無償でゆずるからあとは管理してくれ」と言い出される農家の方も出てくるでしょう。おそらく、少なくない方がそう言い出されるのではないでしょうか。
そうなれば、三セク等が農地を所有すればいいのではないでしょうか。現状は市町村自治体が農地を所有することはできないそうなので、三セクが所有することにする。そして、いずれは、市町村自治体が農地を所有するできるように法律の改正も検討すべきなのではないでしょうか。
本来、農地に限らず、土地というのは公共なものなのではと思います。そうすれば、農地に税金を投入するのも何もわだかまりもなくなってきます。

33.市町村どうし手を組もう

そんな取組をする市町村が少しずつ増えてくれば、手を組めます。一つが二つになり、5つになり、10になり、100になれば、世論が作れます。さすがにテレビも映さざるを得なくなるでしょう。
国民が少しずつ覚醒していくでしょう。「なるほど、特産品では農地は守れないんだ~。補助金なしでは農地は守れないんだ~」「日本は補助金漬けって聞いてきたけど本当は違うのだ~」と。
そうやって世論を作らないと、経済界やましてやアメリカには勝てません。
でも、繰り返しになりますが、都会の人も含めて、今、多くの人が実質賃金が下がり将来の不安をかかえて暮らしている。そんなことを解消していくのも農地を守るのも、根本的な対策は同じです。根は同じなのです。
そして、食料は国民すべての人に直接関わってくる問題なのです。
だから、私たちも「農地は田舎だけの問題ではないですよ。都会の人のこその問題ですよ。」「根は都会の人の問題とも同じですよ。」「税金をどこから取るのか、そして、人々の命と暮らしに使うのか。問題はそこのところで、共通ですよ。」「どちらかだけが良くなったらいいということはあり得ないことですよ。」という視点で訴えていくことが大事だと思います。
実際、農家・地方だけが生き残るということは考えられません。ほんとにみんな根は共通なのです。
田舎が良くなるときは都会の人の暮らしも良くなるときです。

34.共に、立ち上がろうではありませんか。

あきらめてはいけません。それは、子どもたち、孫たちの命を奪うことです。
農地をなくしてしまった国に生まれてくることが、どんなに惨めで情けないことか、ちょっと考えれば誰でも分かることです。
私たちは、素晴らしい農地を先人から受け継ぎました。今までの先祖はみんなそうやって次の代に農地をしっかり渡してきたのです。私たちの代だけが「今だけカネだけ自分だけ」で農地をつぶしてしまうのです。
それは、次を受け継ぐ者からすれば、犯罪的です。
皆さん、一生懸命農地を守ってこられました。もう一踏ん張り、みんなで共に声を上げましょう。
一人二人では何も動かないけれど、5人になり10人になり、100人、1,000人になれば事態は動き始めます。万人になれば動かざるを得なくなります。
頑張りましょう~。


長々と書いてきましたが、そのようなことを考えて、私は市議会議員になりました。
私自身の農場は素晴らしいスタッフが来てくれたのでほとんどをまかせています。そして、できた時間をこの活動に当てていきたいと思っています。

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